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いったい、どうすれば部下のやる気を引き出せるのでしょう?

調味料の製造販売会社に勤める営業課長Aさんは、ここ数か月、売上が下がってきていること、課内の雰囲気が暗いこと、部下のモチベーションが低いことなどで悩んでいました。どうすればこの状況を打開できるのか? と。

 

飲食店を訪問して自社の調味料を扱ってもらうように売り込むのがAさんの課の仕事ですが、報告会議を開いても、

「毎日、何軒も訪問しているのですが、どこも『今は必要ない』と断られて……」

「どのお店も忙しくて、担当者になかなか会ってもらえなくて……」

「円高や景気の悪化で、どこも厳しいようで……」

 といった後ろ向きの発言ばかりが続きます。

 

 熱血営業マンとして知られ、かつて同社の営業成績を飛躍的に伸ばした実績を持つAさんからみれば、部下たちの態度には歯がゆさが募ります。

「できない言い訳を並べるんじゃなくて、どうしたら目標達成できるのかを考えろ!」と叱咤しますが、部下たちは「はい、わかりました。がんばります」とその場ではしおらしく言うものの、営業活動や成績に好転の兆しはありません。

 

途方に暮れたAさんは、「自分ならこうはしない」「あんなこともできない」と部下の至らない点を列挙しながら「いったい、どうすれば部下のやる気を引き出せるのでしょう?」と、私に相談を持ちかけてきました。

 

 

通常、こういうケースの場合、コンサルタントは相談者に対して、部下の意識や行動を変えるスキルやテクニックをアドバイスすると思います。

 

ですが、私はAさんにまず

「一切衆生を観ること己身のごとし、故にあえて前人を瞋恚せず」

という弘法大師空海の言葉を紹介しました。

 

空海が著した『三昧耶戒序(さんまやかいじょ)』という書物にあるこの言葉は、

「世の中のすべての人を自分の姿だと思いなさい。そう思えば、目の前の人に怒りやイライラを抱くこともなくなります」

という意味です。

 

そして、「今の部下の姿はAさんの姿であり、Aさん自身が変わらなければ部下の方々は変わりません」と説明しました。

 

Aさんは、部下の姿は自分自身であるという私の指摘に唖然とし、「そんなバカな!」と反論しましたが、空海の言葉に込められた意味をきちんと説明したところ、「たしかに、仕事に対して後ろ向きな今の部下の姿は、部下の育成を怠って愚痴や泣き言を言っている自分の姿と同じかもしれない」と納得してくれました。

 

 

Aさんの現状を整理すると、

 ■外部の環境要因(政治や国際情勢、景気など)

 ●会社が部下に与える影響

 ◆Aさんが部下に与える影響

 ★モチベーションが低い部下

となり、■×●×◆=★という式が成り立ちます。

このうち、■●はなかなか変えられませんが、◆はAさん自身のことなので変えることができます。そして、◆が◇に変われば、■×●×◇=☆と変化することも可能なはずです。

 

やがてAさんは、◆を◇に変えるべく、部下の立場になって考えるようになり、部下を成功させることを意識し始めました。課の成功のために部下を使うのではなく、部下一人ひとりの成功が結果的に課の成功につながる、と視点を変えたのです。

 

その上で、

 ○目的:売上アップ、売上目標の達成

 ○Aさんがやるべきこと:部下一人ひとりの成功を真剣にサポートする

を明確にしました。

 

そして、

 

・部下との1対1の個別ミーティングの機会を増やす

・親睦を深めるために、ランチ会や飲み会を主宰する

・できないことを否定するのではなく、できたことを認め、期待を口にする

・「私だったらどう攻略するか考えてみよう」と一緒に取り組む姿勢を見せる

・部下の営業に同行する機会を増やす

・営業の現場で、営業手法や考え方をアドバイスする

 

といったことを実践するうちに、Aさん自身が部下の悩みをリアルに理解できるようになった上、部下からも気軽に相談されることも多くなり、課内のコミュニケーションが活発になってきました。そして、部下たちの表情や行動がイキイキし始め、モチベーションも上がり、課全体の営業成績に少しずつ明るい兆しが見え始めました。

 

◆を◇に変えたことで、★が☆になってきたのです。

 

そんなある日、部下たちと飲みに行ったとき、一番若手の部下から、

「課長、仕事は厳しいものです。嫌なこともあります。でも、真剣に取り組めば楽しいですし、頑張って成果を上げられると、自分は会社のお荷物ではなく、会社の役に立てていると思えて嬉しくなってきます。以前の僕にこんな考え方はなかったのですが……。課長の下で働いて、自分を変えることができたように思います。僕は課長の部下になれてよかったです!」

と言われて、Aさんは嬉し涙をこらえることができなかったそうです。

 

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