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陰徳があなたに幸運と成長をもたらす

 市役所に勤める係長のBさんは、なかなか部下とのコミュニケーションが図れずに悩んでいました。部下が自分の思うように動いてくれないのです。

 

 Bさんは何とか現状を改善したいと、マネジメント・スキルを学んだり、リーダーシップについての書籍を読んで実践したりするものの、あまりの変化のなさに悶々とする日々。帰宅するなり妻に「部下の話を聞いてあげようと思うのに、コミュニケーションがうまく取れないんだ」「俺のほうから挨拶してあげてるのに、そっけない返事しか返ってこない」と愚痴をこぼすことも増えていきました。

 

 そんなある日、妻から「あなたの話には、『〇〇〇してあげたのに……』が多いわね」と言われて、Bさんはドキッ! としました。「たしかに妻の言うとおりだ。俺は何て恩着せがましいんだろう」と恥ずかしくなりました。

 

 自分が部下の話を聞いたり、元気に挨拶したりするのは何のためか、を改めて振り返ってみて、部下に見返りを求めていただけの自分に気づいたのです。その結果、部下には「係長は自分の利益のためだけに、私たちに関わってきている」としか伝わっておらず、本来求めていた信頼関係は構築できていなかったのです。

 

 Bさんは大いに反省し、翌日から1時間早く出勤し、他の人が出てくる前に職場を掃除するようになりました。ゴミ箱を空にしたり、共有スペースに雑巾がけしたり。皆に少しでも気持ちよく仕事してもらいたいという純粋な気持ちと、「やってあげている」ではなく、「自分がやりたいからやる」という思いで掃除するように心がけました。

 

 すると不思議なことに「今までは何てやる気のない連中なんだと思っていたけど、皆けっこう頑張ってくれているな」という気持ちが湧いてきました。Bさんはこの気持ちを大事にしたいと思い、誰にも知られることなく職場の掃除を続けました。それはまるで、掃除をすることで自分の「恩着せがましい心」が清められていくような感覚でした。

 

 やがてBさんは、部下との人間関係がよくなってきているのを実感するようになりました。何かにつけて恩着せがましかったBさんの言動が少しずつ変わってきたことが部下にも伝わったようで、Bさんの意図に沿って部下が動いてくれることが多くなっていきました。

 

 他の人から信頼を得られなかったり嫌われたりする人の典型的なパターンのひとつは、見返りを強く求めることです。自分が相手に行ったことに対して、相手から自分の期待どおりの反応が来ることを求めすぎると、人間関係の不和をもたらします。

 

 書家の相田みつをの詩に、「あんなにしてやったのに『のに』がつくとぐちが出る」というものがあります。相手に対して恩着せがましくなると、愚痴っぽくなって自分が苦しむことを端的に表しています。「私はやりたいからやっている。それで結果的に相手に喜んでもらえたら嬉しい」と、シンプルに考えればいいのです。

 

 人知れず施す恩徳、隠れた善行のことを「陰徳」といいます。「陰徳あれば必ず陽報あり(人知れず善行を積んだ人には、よい報いが目に見えて現れる)」という古い中国の言葉にもあるように、陰徳を積むことで自ら成長することができ、他の人からも信頼を得ることにつながるのです。「陰徳」という言葉は、前漢の頃の思想書『淮南子』が最初の出典とされていますが、曹洞宗の『正法眼蔵随聞記』をはじめ仏教の教えの中にも登場します。

 

 私の知人に、毎朝、出勤前に30分ほど近所を散歩しながら空き缶を拾うのを習慣にしている人がいます。夜、駅前の販売機やコンビニでジュースやビールを買って歩いてくる酔客が、ちょうど彼の家のあたりで飲み終えてポイ捨てして行くらしく、空き缶が落ちていない日はないくらいだそうです。彼は、それを毎朝拾っているわけですが、そこには何の邪心もなく、ただ「自分の住む町の美化を守りたいから」続けています。こういう行為こそがまさに「陰徳」です。

 

 私の祖母は神社の宮司をしていましたが、子供の頃、その祖母から「誰も見ていないところでも、神様や仏様はその人が何をしているかちゃんと見ているんだよ。その人を応援するかしないかを見定めているんだよ」とよく言われたものです。

 陰徳を積めば神仏が必ず応援してくれる、ということを教えてくれたのでしょう。

 

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