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怒りの感情をコントロールできるようになる方法

 ウェブデザインの会社を営む女性経営者のYさんは、自分の感情をうまくコントロールできず、何かにつけてすぐ怒るタイプの人でした。スタッフが自分の指示したことをやっていなかったり、自分が思っていたとおりの結果が出ないと、他のスタッフがいてもおかまいなしにガツンと怒鳴る。単に思いどおりにならないだけなのに、「私の指示どおりにやらないのは、私のことをバカにしているからだ」とまで思い込んでいました。

 

 そのくせ、怒ったあとでは必ず「ちょっと言いすぎたかな……」と反省して、陰でシクシク泣くのです。そして、「ああ、また怒ってしまった」→「今度こそ怒らないでおこう」→「あ、また怒ってしまった」……の繰り返し。

 

 一方、怒られたスタッフにしてもたまりません。Yさんから次々と指示される仕事をやっているのに、やることなすこと怒られてばかりなのですから。仕事がはかどらない理由があっても聞いてもらえず、プライドは傷つき、やる気も失せ、やがて、1人、2人と会社を辞めていきます。

 

 そしてYさんは、つねに人手不足に悩まされ、会社の業績も悪化し、「職場は楽しく、業績は増収増益」と思い描いているような理想の会社像からはどんどん遠ざかっていく悪循環に陥っていたのです。

 

 

 「五官」とは、文字どおり五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を生じる5つの感覚器官(目、耳、身、舌、鼻)のこと。「煩悩」とは、心身を煩わし、悩ませる一切の妄念のことです。煩悩は感覚神経(五官)から入ってきた情報に、自分でさまざまな意味づけをすることから生じます。とくに「怒り」の煩悩は、自分の価値観と周囲の人のそれとが合わない、という不満です。

 

 「欲しいものが手に入らない」「自分の思いどおりにならない」といった怒りの煩悩を振り回してしまうと、「あの人は自分勝手な人だ」となり、人間関係や仕事上のトラブルを招いてしまいます。この傾向は、とくに経営者や管理職の人に多いようです。

 

 上司が部下を叱責することが、結果的に会社の売上アップや部下のモチベーションアップにつながるというマネジメントの仕方もありますが、Yさんは会社の業績が上がらないことに日々悩んでいましたし、自分の感情をコントロールできないことへのモヤモヤがあり、理想どおりの自分になれないことにもイライラしていました。

 

 仏教の教えには「怒りが湧いてきたときには制御しなければならない」とありますが、怒るのは人間として当然の感情です。その怒りを自覚した上で自分の内面を見つめ、「なぜ私はすぐに怒ってしまうのか?」という原因を見つけることが大切なのです。そうしないと、いつまでたっても怒ってしまう状況は改善されません。

 

 人は五官を通して入ってきた情報に、自分なりの意味づけをします。しかし、それは真実とは限りません。「何が私を怒らせたのか?」を、冷静に見つめる必要があります。つまり、自分にとって不幸な意味づけをしているから、結果的に「怒り」という対応になるのです。

 

 まず、自分が冷静になることが大切です。冷静でないときは何をやっても裏目に出ます。そして、怒っているときは何も言わないように我慢します。時間をおいて、少し冷静になってから考えてみると、(Yさんの場合なら)「自分はスタッフにバカにされていると思っていたけれど、本当はそうではないかもしれない」という見方も生まれます。その出来事をどう捉え、どう対処していけば、自分にとっても相手にとってもプラスに働くようになるかを考えましょう。

 

 具体的な方法としては、相手(スタッフ)の立場に立って考えてみることです。

 ひょっとしたら、急な来客やクレームがあり、その対応に追われていたのかもしれません。仕事量が多く、優先順位が不明確で手が回っていないのかもしれません。そうした相手の状況に配慮することなく、Yさんはただ怒鳴っていたのです。相手を十分理解しなければ、その人を仕事で十分生かすことは難しいものです。

 

 そこでYさんは、怒り口調ではなく「今の仕事の状況とか、思いどおりに仕事が捗らない状況とか何でもいので私に教えて」と丁寧に聞いてみました。すると、Yさんは彼らのことを半分も理解できていないことがわかりました。

 

 さらに驚くことに、Yさんは次から次へと思いついたことを「これやっておいてね」と指示する癖があり、彼らはどれを優先させればいいのか迷っていることも判明しました。指示された仕事をやっていると、その最中にまた「これ、お願いね。あれはまだやっていないの? 早くやりなさいよ」と怒り口調で言われる。そんな状況の中で彼らが辛抱して働いていることに、Yさんは気づいていなかったです。

 

 この一件以来、Yさんはスタッフの立場に立って物事を理解するようになりました。そして今では、怒る回数は圧倒的に減り、社内のギスギスした雰囲気も徐々によくなってきたそうです。

 

 最終的には、経営者の言動や意識が変わらない限り会社は変わりません。職場における上司も同じです。もちろん中には、仕事に対するモチベーションが低かったり、給料以上に働くつもりはないと考える従業員や部下もいるでしょう。しかし、そうはいっても、社長(上司)が変わることが従業員(部下)を変える一番の近道なのです。

 

 自分の煩悩の原因がどこにあるのかを知らない限り、煩悩をコントロールすることは絶対にできません。ですから、怒りが湧いてきたときは、「今、自分の中に煩悩が起こっているんだ」と悟り、「なぜ、私は怒っているんだろう?」と自問自答するのです。

 

 煩悩には、怒り以外にも、

・あれも欲しい、これも欲しいと貪る心

・間違ったことをしているとわかっていても止められない愚かな心

 などがあります。

 

 「煩悩」という字には、ものすごくマイナスのイメージがありますが、仏様は、怒っている自分を含めて存在していいですよと言ってくれるはずです。

 

 

 怒りの煩悩をコントロールするには3つのステップがあります。

 

 1.なぜ自分は怒っているのか? の原因を見つける。

 2.怒っている自分を許す。

 3.怒りを手放す。

 

 3の「手放す」は難しいステップですが、いかに許すかが重要なポイントです。「怒っている自分もまんざら悪いヤツじゃない」と思えたときにようやくできるものです。「自分はダメだ」と否定したり、「こんな自分は変えるしかない」と思いつめてはいけません。

 

 テレビのサスペンスドラマでは、犯人は途中まで悪人として描かれますが、クライマックスでは「あいつが、私の大切な人を死に追いやったから……」と事件を起こした動機を告白します。すると視聴者は、「人を殺すのはよくないが、犯人もまんざら悪いヤツじゃなかったな」と同情してしまうものです。

 

 こんなやり取りが自分の中でできるようになると、煩悩を手放せるようになります。「怒ってしまう自分はダメだが、原因については理解できないこともないな」と思えれば、自分を変えることにつながるのです。

 

なお、怒り以外の煩悩を手放す場合も同様に、

・なぜ自分は、あれもこれも、つい欲しくなってしまうのだろう?

・なぜ自分は、間違ったことをしているとわかっていてもやめられないのだろう?

 などと、煩悩が湧いてくる原因を探ってください。煩悩の言い分を聞いてあげてください。こうして自分を知り、自己理解を深めることで、煩悩のコントロールができるようになり、自分を変えることができるようになります。

 

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